看護師自身と患者を感染から守る【4つの予防策:プリコーション】 #16
プリコーション(Precaution)とは、日本語で、予防措置、用心、予防(策)、警戒、事前注意などの意味です。
この記事は、
看護師として自分の身を感染源から守り、患者さんを守る為に重要な、感染予防管理=インフェクションコントロールに関係する4種類のプリコーションについて『日本語』と『英語』でまとめています。
アメリカ看護師試験NCLEX-RNを受ける前に暗記するようNCLEX講師からに教わった内容と自身の看護経験を情報元として記事は構成されています。NCLEX-RN前に MUSTで記憶しておいたほうが安心な内容です。
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4種類のプリコーション
- Standard precaution:スタンダード・プリコーション:標準予防対策
Universal precaution:ユニバーサル・プリコーション:普遍的予防対策 - Airborne precaution:エアボーン・プリコーション:空気感染予防対策
- Droplet precaution:ドロップレット・プリコーション:飛沫感染予防対策
- Contact precaution:コンタクト・プリコーション:接触感染予防対策
標準予防対策:スタンダードプリコーション:Standard precaution|普遍的予防対策:ユニバーサルプリコーション:Universal precaution
スタンダードプリコーションとユニバーサルプリコーションとは?
スタンダードプリコーションとユニバーサルプリコーションは、呼び方を変えているだけで、意味は同じです。
医療者の保護を中心とした考え方です。感染症の有無に関係なく、全ての患者さんの『血液』『体液』『排泄物』を感染の可能性として取り扱う予防対策のことです。
プリコーションの方法・具体策
医療者が、全ての対象者に接触する際に、適切な手洗いを実施する。
血液、体液、排泄物に触れる場合や飛び散りの可能性があることを考慮して適切な手袋、マスク、アイプロテクション、ガウンの着用が必要です。
空気感染予防対策:エアボーンプリコーション:Airborne precaution
エアボーン・プリコーションの方法・具体策
患者さんは個室に入ってもらい、ドアは必ず閉めます。
同じ病原体を持つ患者さん同士は同室OK。患者さんが部屋の外へ移動する時はマスクを着用してもらうようにします。
対象感染症の種類
- 麻疹:Measles(rubeola)
- 帯状疱疹:shingles(herpes zoster)
- 水痘:Chickenpox (Varicella)
- 結核:tuberculosis
- 散在性帯状疱疹:scattered shingles
飛沫感染予防対策:ドロップレット・プリコーション:Droplet precaution
ドロップレット・プリコーションの方法・具体策
患者さんは個室に入ってもらい、ドアは必ず閉めます。同じ病原体をもつ患者さんと同室はOK。
対象感染症の種類
- 連鎖球菌性の咽頭炎:Streptococcal pharyngitis
- 連鎖球菌性の肺炎:Streptococcal pneumonia
- マイコプラズマ肺炎:mycoplasma pneumonia
- 髄膜炎菌性肺炎:meningococcal pneumonia
- おたふく:mumps
- インフルエンザ菌:haemophilus influenza
- ジフテリア:diphtheria
- 百日咳:pertussis
- 猩紅熱:scarlet fever
- 髄膜炎:Meningitis
- 風疹:rubella
- 新型コロナウイルス(COVID-19)
新型コロナウイルス(COVID-19)の情報は、
WHO : World Health Organization
CDC:Centers for Disease Control and preventionの最新情報を確認ください。
接触感染予防対策:コンタクトプリコーション:Contact precaution
患者さんは個室もしくは同じ病原体をもつ患者さんと同室はOK。
看護師が部屋へ入る時は清潔な手袋、ガウンを着用して部屋から出る前に着脱する。飛び散る物がなければマスクは不要です。
対象感染症の種類
- 疥癬:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌:MRSA:Methicillin-resistant Staphylococcus aureus
- 疥癬:scabies
- シラミ:lice
- 単純ヘルペス:herpes simplex
- 腸内感染:Enteric infection
- RSウイルス感染症:Respiratory syncytial virus:RSV
- 伝染性膿痂疹(とびひ): impetigo
- ウイルス性出血熱:viral hemorrhagic conjunctions
- 皮膚/創傷感染:skin/wound infection
各プリコーションのまとめ表(英語:NCLEX試験対策に利用)
Private room | Gloves | Mask | Gown | |
---|---|---|---|---|
Universal precaution | Yes | Yes if splashing is likely | When soiling is likely | |
Airborne precaution | Yes Doors closed | not necessary | hepa filter | not necessary | Droplet precaution | Yes Doors closed | not necessary | Surgical mask workings 3ft of patient | not necessary | Contact precaution | Yes | Yes | No | Yes |
プリコーションNCLEX-RN問題
プリコーションに関する問題
看護師は、髄膜炎と診断された患者さんにどの感染に基づく予防措置・対策を実施するべきか問われています。
The nurse is caring for a client diagnosed with meningitis and implements which transmission-based precautions for this clients?
- Private room or cohort client
- Personal respiratory precaution device
- Private room with negative airflow pressure
- Mask worn by staff when the client needs to leave the room
Answer: 1
髄膜炎は飛沫感染(Droplet)する疾患です。
この診断の患者さんへはプライベートルームもしくは同じ疾患の患者さんと同室OKなので回答は1となります。
2の個人用呼吸器保護具や3の空気がお部屋の外へ漏れ出ないように陰圧をかけている部屋が必要なのは、結核などの空気感染予防策が必要な時です。
4の患者さんが部屋を出る時に医療スタッフがマスク着用するのではなく、患者さんがマスクを着用しなければならない。
出典/引用/参考:SAUNDERS
【アメリカ看護】アメリカ国際看護師★カメナース★完全ロードマップ
「アメリカで国際看護師に興味がある!」「どうやったらなれるの?」本記事は、こんな疑問を持つ方のために「独学でNCLEX-RN試験勉強→合格→永住権獲得→現地で働く」までに必要な全てについてを解説した「カメナースアメリカ看護師完全ロードマップ」です。
著者:日本看護師、アメリカ・ニューヨーク州、カリフォルニア州国際看護師、1級ネイリスト カメナース