新人看護師のバイタルサイン!正しい採血方法とスピッツの順番!日本もアメリカも同じ?
こんにちは!
日米看護師のカメナースです。
このサイトでは、新人看護師が日本やアメリカで安心してバリバリ働けるように看護に役立つ情報をお届けしています。
このページでは
バイタルサインに次いで重要な血液検査、採血についてです。
この記事の内容(目次)
- 新人看護師にお役立ち!採血スピッツの色の違い&順番
- 採血のとき、拳を繰り返し握り締めたり緩めたりするグーパー行為は何故してはいけないの?
クレンチング・ハンドグリップ
血漿カリウム(K)レベルの虚偽の上昇 - 血管が出ないとき、腕を叩いて良いの?
- 採血が難しい患者さんの採血では、これを試してみる
- 採血針の種類はどれが良いの?
- 採血スピッツの色の違いで適切な順番がある
日本で真空管採血するときの色と順番
アメリカで真空管採血するときの色と順番
スピッツの種類、用途もっと詳しく - 採血を行う際の注意点まとめ
- 採血、日本とアメリカの違い! Phlebotomist がいてくれるから医師や看護師の負担が分散される!
新人看護師にお役立ち!採血スピッツの色の違い&順番
血算、生化学、血糖、凝固系など、色とりどりのキャップが付いたスピッツを医師から指示された内容に沿って選び採血します。
スピッツは真空管で
指定された量の血液が自動的に吸引されスピッツにたまります。
採血検査結果でおかしな検査値が出てしまった! これは、採血の手技が大きく影響していることがあります。
「この患者の採血は!誰が採血したんだ!検査値がはちゃめちゃ!」 とならないように正しい手技を身につけて行きましょ!
日本の多くの病院や施設は、 日本臨床検査標準協議会(JCCLS)の標準採血法ガイドラインに沿って新人看護師に指導がされています。
標準採血法ガイドライン―GP4ーA3
マニュアル作成をしたい中堅看護師やエビデンスまでしっかり勉強したい新人看護師におすすめです。2011年版の前巻から2019年に新しくなった8年ぶりの改訂版。
英語で採血を表現する
採血は、英語で『Phlebotomy』 です。
採血のとき、拳を繰り返し握り締めたり、緩めたりするグーパー行為は何故してはいけないの?
クレンチング・ハンドグリップ
手の拳を開閉を何度も繰り返す、グーパーを何度もして拳を強く握りしめることをクレンチング(Clenching)やハンドグリップ運動(Handgrip exercise)と言います。
クレンチングやハンドグリップ運動は、1930年代から数十年この方法がされてました。
しかし、今は 採血のときに拳を繰り返し握り締めたり緩める、この運動は推奨されていません。
血漿カリウム(K)レベルの虚偽の上昇
1961年にスキナーにクレンチングやハンドグリップ運動によるカリウム(K)のレベルを測定する際の誤差の可能性が最初に問題定義されました。
血漿カリウムの虚偽の上昇を引き起こすことが繰り返し確認されました。
クレンチングによって、前腕の筋肉や血球からのカリウムが静脈流出液に入ることから生じる現象が確認され 1.5 mMol / l 程度カリウムが上昇する可能性があります。
血管が出ないとき、腕を叩いて良いの?
答えは、ダメです。
採血のとき、腕を叩く行為、推奨されていません。
採血のとき、腕をバシバシと叩くことで、交感神経が緊張して血管が収縮し採血を難しくしてしまうからです。
採血が難しい患者さんの採血では、これを試してみる
小さい子や血管が見えてない患者さんの採血は難しいですね。
採血が難しいときの3つのポイント
ポイント
- 腕を心臓より低い位置になるように垂らし、血液を鬱血させると採血しやすくなります。
- 採血したい腕の部位を蒸しタオルや保温材で温めると、採血しやすくなります。
- 採血に失敗、そんなときは上手にできる人に交代してもらうこと。
採血針の種類はどれが良いの?
採血針の種類には、ストレート針と翼状針:バタフライニードル2つあります。
それぞれのメリットは次の通りです。
ストレート針(一般的に21ゲージと22ゲージ)
メリット
- 凝固しにくく、高品質の静脈サンプルを採取できる
- コスト削減ができる
- 針刺し損傷のリスクが62%減少した調査あり
溶血をおこさないように23ゲージ以下の針は、やむを得ない場合を除き推奨されていません。
翼状針:バタフライニードル(21ゲージと23ゲージが最も頻繁に使用されている)
メリット
- 新生児、小児、老年、腫瘍学、火傷の患者など、静脈が細い、またはもろく壊れやすい人(手足など)に最適
- 25ゲージの針を使用することもあり
採血スピッツの色の違いで適切な順番がある
スピッツ色は、日本とアメリカ、病院より色が若干違います。しかしWHOでガイドラインが出ているので、おおよそ同じ色です。
筆者も日米、いくつもの職場で働いてますが、スピッツの色と長さを入職時に覚えていればそれほど困ったことはないので、新人看護師さんも心配しないでください。
日本で真空管採血するときの色と順番
採血スピッツ挿入の順番は、交差汚染やラボで誤った結果が生じるのを防ぐためです。
生化学スピッツ(長いスピッツで赤茶色)
↓
凝固スピッツ(黒)
↓
血沈スピッツ(オレンジ)
↓
電解質ヘパリン入りスピッツ(緑)
↓
血算スピッツ(うす紫)
↓
血糖スピッツ(グレー)
アメリカで真空管採血するときの色と順番
アメリカも違いが一眼でわかるように色分けされています。メーカーや病院より色が若干違う場合もありますが、だいたい同じです。
順番は、世界保健機構(WHO)カイドラインの順番で記載しています。
採血スピッツは、英語で Vacutainer です。
血液培養がある場合は、1番初めに血液培養スピッツから採血します。(8〜10ml)
その後は
凝固スピッツ(青:ブルー)
*クエン酸ナトリウム
*日本とスピッツの色ずいぶん違うこと多い
↓
生化学スピッツ(赤: レッド)
↓
生化学スピッツ(金または混じり:ゴールドまたは タイガー)
↓
電解質スピッツ(緑:グリーン)
↓
血算スピッツ(紫または桃色:ラベンダー またはピンク)
↓
血糖スピッツ(灰色:グレー )
の順です。
順番を忘れそうになっても
暗記しなくても大丈夫です!
英語を話す人口は世界で約15億人
その分、英語で看護する人口も多いので、とっても便利なカンニング用のアイテムがたくさん販売されてます。最初だけでも便利アイテムを使っているとそのうち、自然に覚えられます。
例えば、採血スピッツ順番を持ち歩きたいとき用のカード
看護師や医師のユニホームのポケットに入るカードタイプの便利医療用カードがたくさんあります。
就職してから便利アイテムを使わなくなったから!と譲ってくれる優しい先輩も多いです。
病棟やクリニックによっては、新人看護師さんオリエンテーション用に便利カードとそこで使用されている医療略語集が配布されることもあります。
アメリカ看護師テストNCLEX-RNによく登場する医療略語については、下記のページをご覧ください。
採血スピッツの種類、用途もっと詳しく
血液培養スピッツ(Blood Culture)またはバイアル(Vials)
好気性菌と嫌気性菌、真菌の培養用があります。
血液培養スピッツには、ブロス混合物が入っています。
凝固スピッツ(Coagulation)(青:ブルー)
凝固検査(PT,APTTなど)に使用される。
凝固スピッツには、クエン酸ナトリウム添加剤が入っています。採血後、凝固しないように直ちに混和します。
翼状針:バタフライニードルの採血セットを使用する場合は、適正な採血量を維持するため、ラインのデッドスペースボリューム(死空)をクリアするため、廃棄スピッツが必要になります。
生化学血清スピッツ(Clot activator)レッド
抗凝固剤や防腐剤は含まれていません。生化学、免疫、血清学検査に使用される。
遠心分離機によって血清を分離することができます。
血清スピッツ(Serum Separator)ゴールドまたはタイガー
生化学、免疫、血清学検査に使用される。
遠心分離機によって血清を分離するゲルが下部に入っています。
電解質ヘパリンスピッツ(Sodium heparin) ダークグリーン/ヘパリンスピッツ(Lithium heparin anticoagulan) ライトグリーン
ヘパリン抗凝固剤が含まれています。
血算スピッツ EDTAスピッツ ラベンダ
EDTA抗凝固剤は、カルシウム塩を形成することによってカルシウムを除去。EDTAを含むチューブはリウムレベルの上昇を引き起こす可能性があります。したがって、カリウムの検査が必要な場合、EDTAを含む前に凝固検査を行う必要がある場合も同様です。
クロスマッチ、血液学、血球分析に使用されます。
血糖スピッツ グレー
フッ化ナトリウム(防腐剤)またはシュウ酸カリウム(抗凝固剤)の添加剤が含まれています。これは、ブドウ糖を最大5日間保存します。
採血を行う際の注意点まとめ
- 採血は可能ならば、患者さんの姿勢は、仰臥位が望ましい。
- 点滴をしている腕からの採血は薬剤の混入による検査データへの影響があるので行わないようにします。
- (点滴をするために、静脈内輸液カニューレを入れ、ルートを接続する前に血液検体を採取することは許容されていますが、WHOガイドによると理想的ではないとされています。)
- 30秒間、消毒剤(皮膚消毒用の70%アルコール)で消毒した皮膚は、乾いた後(約30秒後)に採血します。消毒効果が不十分であったりする可能性や溶血や凝固の検査項目に影響がでる可能性があります。
- 溶血をおこさないよう適切な採血針を選択しましょう。
- 採血で血液が出にくい時に、手を握ったり開いたりさせたり、長時間の駆血帯してうっ血したりは、カリウムが血中に出てきて異常高値になることがあるため推奨されてません。
- 特に血沈凝固系の採血では、採血スピッツの規定量に不足が無いように瀉血しましょう。採血量が少ないと、赤沈速度亢進、PTAPTT 延長などの虚偽値になります。
- クエン酸ナトリウム入りの採血管は、翼状針による真空採血の場合、 1 番目の採血管として選択するべきではない。
- 採血後のスピッツは、静かに混和します。採血直後に8〜10回反転させて採血管を穏やかに混合します。泡立ってしまうほど乱暴に混和しないでください。
採血、日本とアメリカの違い! Phlebotomist がいてくれるから医師や看護師の負担が分散される!
アメリカも日本と同じく、医師、看護師も採血をしてます。しかし、アメリカには、Phlebotomist の資格があり採血をする専門職があります。
医師、看護師より短時間のトレーニングで資格を取得できるので多くのPhlebotomist が病院、クリニック、輸血センターなど、色々な職場で活躍中です。
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この記事の著者・動画制作者:ニューヨーク・カリフォルニア国際看護師(BSN)・1級ネイリスト カメナース